あれは、5年以上前のことだったと思います。
JRのボックス席で、私の前に若いお母さんと幼稚園ぐらいの男の子が坐っていました。黒崎駅を出たところでしたが、突然この男の子が叫んだのです。
「おかあさん、あのでんしゃ、ひとりぼっちでカワイソー!」
その子の指の先を見ると、機関車が一輌で八幡方面に走っているところでした。
私は思いがけないこの言葉に感動し、この子を抱きしめたい衝動に駆られたことを思い出しています。
そうなんです、朝日新聞で連載されていたコラム『あのね―子どものつぶやき』」が文庫版(朝日新聞出版編、2009年)になって読み直したのです。思わず笑い出してしまう傑作ぞろいです。
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「4歳になった娘の誕生日。母が『大きくなったねぇ
あっというまにお嫁にいっちゃうかな』とつぶやくと、
『だいじょうぶ すぐ帰ってくるから』
(埼玉県上尾市 高橋映里穂・4歳)」(9ページ)。
「お友だちの風船が空へ。母『かわいそうね』
『でも雲はよろこぶね』
(茨城県つくば市 土師京佳・4歳)」(11ページ)。
「いたずらをしてしかられ、お尻をたたかれた。
半べそで、『いたいの、いたいの、ママのところに とんでいけ!』
(東京都江東区 瀬尾崇弘・3歳)」(21ページ)。
「両親の若い時のプリクラ。2人の顔の間に文字を見つけた。
『うずうずってなに?』
ラブラブだった。
(京都市 田中雄太郎・5歳)」(32ページ)。
「最近なんでもまねをする。体重計にのってママのまね。
『やばーい』
(神奈川県川崎市 松本 祥・2歳)」(51ページ)。
「久しぶりの運転で緊張している母を見て、
『怪獣の目で 運転している』
(マレーシア・イポー市 田中友大・4歳)」(74ページ)。
どれもこれも、面白い。そう、ただ面白いだけでなく、目じりに涙が滲んでくる、そういう面白さですね。
私にもこういう感性をもった時期があったはずですが、とうに忘れています。邪念が支配しているものだから、こいう子どもたちのつぶやきに「ハッ!」と反応するわけです。だからなんです、次の「つぶやき」に、
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「叶(かのう)姉妹を見て、
『お姉さんたち どうしてあんなところに お尻があるの』
・・・胸でした。
(千葉県習志野市 清水佑里乃・3歳)」(83ページ)。
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あー、いけません、いけません。
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