仲間はずれ、哀しいですね。
仲間はずれにならないために、逆に仲間はずれをする側に身をおく"いじめ"というのがあります。子供たちだけの話ではありません。この日本全体がその構造を持っています。
宮本太郎さんの『生活保障―排除しない社会へ』(岩波新書、2009年)を読んでいると、「『社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)』『福祉から就労へ』『ワークフェア』」(33ページ)という言葉に出会います。
障害者ばかりではありません。健常者であっても、雇用からの仲間はずれ、福祉からの仲間はずれ、そして家族・隣近所などコミュニティからの仲間はずれが進行しています。
排除しない、見捨てない、仲間はずれにしない、そのための仕組みが求められています。
ところで、心身に障害をもった人を雇用することは法律で定められているのです。障害者雇用促進法に定める「雇用義務制度」です。民間企業で56人以上の従業員がいる場合、1.8%、56人に1人の割合(法定雇用率)で障害者を雇用しなければならないことになっています。しかし、多くの企業では「納付金」(1人につき月額5万円)を支払うことで雇用を回避しています。企業にとって彼らの存在は、生産性や経営効率などに大きなマイナスを与えるからと判断してのことでしょうか。
しかし、日本理化学工業(株)会長の大山泰弘さんはそう考えません。むしろ企業にとってプラスになると言われます。
もちろん、努力と工夫があってのことでした。たとえば、重さを量る仕事です。知的障害を持った人には100グラムということが理解できません。
・・・
「どうすればいいのだろう――。
毎日毎日、そのことを考え続けました。
窮すれば通ず――。
ふと閃いたのが、交通信号でした。
知的障害者たちは、駅の改札を出てから会社の門をくぐるまで、まったく1人で、交通事故にあうこともなくたどり着きます。そのためには、途中にいくつかある信号の識別がきちんとできていなくてはなりません。ということは、文字や数字が理解できなくとも、信号の区別、つまり、色の識別はできているということです。
『そうか!』
私はひらめきました。・・・(略)・・・
赤い蓋の容器に入っている粉を量るときには、赤いおもりを乗せる。青い蓋のときには、青いおもりを乗せる。秤の針が真ん中に止まったらOK。秤の他のところは、決して動かさないこと。やってごらん。そう説明して、ある知的障害者の社員をうながしてみました。すると、ちゃんと量ることができたのです。
『ふつうはこうやる』という方法を教えこもうとしていたから、うまくいかなかったのです。もしかしたら、私たちは健常者のやり方を押し付けていただけなのかもしれません」(前掲書、79~80ページ)。
・・・
チョークの太さをチェックする仕事でも工夫があります。通常のノギスを使うのではなく、容器を用意してそこに差し込むことによって測ります。こうして、あらゆる工程が見直され改革が始まります。そして生産性を上げて収益を生み出します。こうした大山さんたちの工夫を,文句なしに"珠のような知恵"と呼びたいですね。
できる人はできない人を見下します。科学的管理法のテーラー主義がそうです。できる人の仕事ぶりを「課業」として設定し、それを達成できない人の賃金は切り下げます。上から目線の管理法です。あのチャップリンの名作『モダンタイムス』ではありませんが、工程(ベルトコンベアー)に人を無理やり合わせるのではなく、工程が人間の側に擦り寄って合わせることが大切です。
大山さんは工場内に設置している「働く幸せの像」の台座に、次のような言葉を刻んで自分の考え方を表現しています。
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「導師は人間の究極の幸せは、
人に愛されること、
人にほめられること、
人の役に立つこと
人から必要とされること、
の4つと言われました。
働くことによって愛以外の3つの幸せは得られるのだ。
私はその愛までも得られると思う」(2~3ページ)。
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大山さん、導師の教えを超えています。
http://www.kiu.ac.jp/mt/mt-tb.cgi/1535
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