ことわざ、格言、アフォリズム、先人の言葉には重みがあります。
大好きなのは、ブリア・サヴァラン(『美味礼賛』岩波文庫)のグルメ格言です。とくに、4番目と20番目。
"4. どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間であるかを言いあててみせよう"
食の好き嫌いは、人間の好き嫌いに通じているということでしょうか。だから、・・・・・
"20. だれかを食事に招くということは、その人が自分の家にいる間じゅうその幸福を引き受けるということである"
食べる楽しみを、自分中心ではなく相手に軸足を置くということです。
食べるということは、ただ単にお腹を一杯にするだけでなく、人と人との重厚な関係をつくる手立てなのだということを教えてくれます。これは、私、恥ずかしながら30歳を過ぎて分かりました。名言、名句を集めた『ことばの花束』 (岩波文庫、1984年)や『ことばの贈物』(岩波文庫、1985年)を繰り返し読んだことも思い出します。
ところで、最近は「脳ブーム」でやたら"脳"がタイトルに入った本が目立ちます。"錯覚する脳"、"わがままな脳"、"あぶない脳"、もうこうなったら"「脳」整理法"にでもすがるしかありません。そう思っていたら、吉村達也『脳に効くことわざ』(ワニブックス【PLUS】新書、2010年)が目に入りました。こいつもか、とめくってみると少々雰囲気が違います。
吉村さんは、人生で思い悩んだら"ことわざ"を活用したらよいと言います。そして、このことわざには五つの機能があると言い、「発想を変える」、「元気が出る」、「決断を促す」、「警告を発する」、「知恵がつく」のそれぞれをいくつかのことわざを挙げて解説しています。どれもこれも深~いのです。
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「ことわざや故事成句には、時代の流れや、外国から日本に伝わった時点で、その使われ方が大きく変わるものがある。『君子は豹変す』あるいは短く『君子豹変』と言われる故事成句も、その代表格だ。・・・(略)・・・
間違ったことをした―そう自覚したときは、それを隠そうとしたり、見苦しい言い訳で取り繕ったりせずに、率直に過ちを認めたうえで、大胆に態度を改めるべき。すなわち『反省は大胆に』ということだ。この基本原理を脳にインプットしておけば、失敗を長く引きずることはない」(102~103ページ)。
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吉村さんは、独自の解釈を加えることもやってます。たとえば、「急がば回れ」です。
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「これは、たとえば道路が渋滞したときに適用できることわざと言えるだろうか。車を運転して幹線道路を走っていたら渋滞にぶつかった。そのとき、距離は長くなるが裏道を通ったほうが早い場合、誰でもそちらを選びたくなる。だが、これはほんとうに『急がば回れ』なのだろうか。
そうではない。
・・・(略)・・・
むしろフランスの格言『霊柩車で着くより遅れて着いたほうがましだ』というほうが正しい判断を教えている。あせった気分で裏道をぶっ飛ばすのではなく、渋滞した幹線道路をそのままゆっくりと運転しながら、苛立つ気持ちを抑えるほうが、早くは着かないかもしれないが確実である。
つまり『急がば回れ』は、こう言い換えたほうが適切だし、現代社会にも活用できる。
急ぐときほど落ち着け」(122~123ページ)。
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そうか、格言の本来の意味を問うことも大切ですが、現代風に再解釈する手もあるわけですね。その点、吉村さんがもっとも力を入れていると思われるのは、本書の最後に取り上げられている「論より証拠」です。このことわざに11ページを割いて、日本人の日本語、文語体と口語体を一喝しています。
「日本人はなぜ冷静な議論が苦手なのか」(196ページ)、という問いかけからしてギョッとさせられます。「文語体と口語体の分離という不自然な言語体系、そして人工的な標準語づくり―こうした日本語の歴史が、日本人の頭脳から論理的な思考回路と明快な表現力を奪い取った」(205ページ)と指弾します。
学生に論文の書き方を得意になって「指導」している私の姿が、一気に滑稽なものになります。うなだれてしまいます。
ここは気を取り直して・・・。
吉村さんは、「長いあとがき」(本当に長いのです)で自分の半生、父や母との葛藤を語っています。そして、その苦い体験から自分でことわざを創っているのです。
最悪は最良の伏線
どん底はそのあとの幸せの、まえぶれ、予兆なんです。いいですね、元気がでてきます。
私も創ってみました。
ことわざをみんなで創れば元気でる
だめか。
http://www.kiu.ac.jp/mt/mt-tb.cgi/1543
COMMENTS
元気の要素(ことわざではありませんが)
まず笑顔 やる気に活気 根気あり
あとは色気に 心意気かな
ということで、、、
柳か風車か | 2010年3月 3日 19:48 | 返信
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