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2010.07.16 Friday

けっぱるぞ(66)北極星で節約

 江戸中期の近江商人、初代中井源左衛門は倹約(節約、始末)とケチは違うと言っています。

 「始末と吝(しわ)きの違いあり。無知の輩は同事とも思うべきか。吝光りは消えうせぬ。始末の光明満ちぬれば、十万億土照らすべし」。

 松尾 匡 (『商人道ノススメ』藤原書店、2009年)さんによると、こうなります。

・・・

 「ここで、『光明』というのは仏教用語で、菩薩から発する慈悲の光である。『十万億土』とはこの世から極楽までにある無数の世界のことで、その間をずっと慈悲の光で照らすことで、人々が極楽まで行きやすいようにするという意味なのである。つまり、石田梅岩も言っていた理屈と同じである。自分のためにケチをするのではなく、人々みんなのために、要らないものをはぶくのである」(125ページ)。

・・・

 始末を行うのは、人々みんなのためだと言います。

 それから250年後、リンボウさんは節約の"檄"を飛ばしています。そうそう、『パソコン徹底指南』(文春新書、2001年) でした、私がパソコン利用法で"檄"を飛ばされたのは。本当は『謹訳 源氏物語』(祥伝社、2010年)にて登場すべき林 望さんでしたが、私の力不足で叶いません。

 林さん、節約の基本はまず食事から入ります。

・・・

 「お金をかけず、無駄を出さず、いかにしておいしい食事を作るか。

 私は常日頃より、このことについて人一倍あれこれと知恵を絞っているのですが、それにはまず、食材の買いかたから考えるべきではないかと思います。

 私のうちでは、日々の食事は原則として私が作っています。いわば、林家のグランドシェフというわけです。・・・・・(略)・・・・・

 私流の買い出しの秘訣といえば、『前もって献立などを一切考えない』、ということに尽きます。その夜の献立を決めることなく、基本的な食材をまんべんなく、冷蔵庫にちょうどいっぱいになる分だけ買ってくるのです。

 野菜といえば、キャベツ一個、白菜半分、にんじん三本、シイタケ一袋、小松菜一把、しょうが一個とか、こんなふうに買ってきて、後からその食材を組み合わせ、献立を考えて料理する。そして、それを二、三日で食べ切って、すべてなくなったら次を買いに行く。このサイクルを常に保っています。

 もちろん、こういうことをしていると、最後には、タマネギ一個と長いも少々というような、『究極の組み合わせ』とでもいうような食材が残ってしまうこともあります。けれども、そこでへこたれてはならない。自分の知恵と腕とを総動員し、そのタマネギ一個と長いも少々から、工夫して美味なるものを作り出すのです。余談ですが、そこから新しいレシピが生まれることが度々(たびたび)あり、これこそ、料理の醍醐味(だいごみ)ではないかと考えているわけです」(『節約の王道』日経プレミアシリーズ、2009年、20~21ページ)。

・・・

 逆転の発想です。

 普通、献立から考えて食材を買います。でも、その食材、全部使いませんよね。残ります、冷蔵庫に行きます、その存在を忘れます、腐ります、捨てます、ちょっと反省します、しかし"しかたがない"であきらめる、その繰り返しです、私たちは。

 この節約の王道、道場破りのごとく、数ある常識を次々と斬り倒していきます。

・・・

 「『万札を崩してはならない』という意識。だからこそ、お金をおろすときは『三万四千円』。これこそ人間の心理をついた、なかなかうまい節約術だと思うのですが、いかがでしょうか」(49ページ)。

 「そういうわけで、たとえ結婚式の披露宴に招待されたとしても、ご祝儀袋を持っていくことは一切しません。当日は手ぶらで行きます。事前にきちんと、相手のためにすごく素敵だと思う骨董品のお皿を選んで、桐の箱をあつらえて、箱書きを丁寧に筆で書いて、そうして当人のところへ贈っておきます」(67~68ページ)。

 「いい大人が、流行が変わるごとに毎シーズン服を買い揃えるなどというのは、どうもお金の無駄遣いという気がしてなりません。流行りのデザインというのはあっという間にすたれてしまうので、一~二年もすればすぐにやぼったくなって着られなくなります」(95ページ)。

 「勉強にしてもクラブ活動にしても、これはつまり、親が子どものためにお金を払って『時間』を確保してあげているからできることなのです。・・・・・(略)・・・・・

 アルバイトをするということは、せっかく親が買い取ってあげた時間を、子どもがまた社会に売り渡してお金に変えてしまうことなのです」(166~167ページ)。

・・・

 たんなる節約法ではないようです。一本、筋が通っています。

 つまり、節約する目的が大切だということです。

 自分が高く掲げた目標、これを北極星と呼ぶ林さんは、この星を羅針盤として、その実現のために「投資」することを勧めます。そうではない費用は無駄なのです。

 ただし、私のような凡人は、どれが北極星なのか分からず、「無駄遣い」をしてしまいます。お酒を飲まない林さんに一言。

 節約して飲むビールは格別です!

投稿者:教員 | 2010.07.16 22:19 に投稿しました。

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