法学研究科長からのメッセージ
- 社会人にも大学院教育の機会を
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本学の淵源は1930年の九州法学校に遡り、当時、北九州の地には法学系の学びの場がなく、職業を有する若人にも法学の教育機会を、という理念から、夜間に授業をしたことが始まりとされています。今日でこそ学部課程は昼間開講だけですが、法学研究科は、職業を持つ社会人にも大学院教育の門戸を開放し、本学の理念は本研究科にこそ色濃く引き継がれています。平日18時から21時に授業を配置し、キャンパスはJR八幡駅から近く、意欲さえあれば仕事をしながらでも学びの機会を得、単位修得が可能です。院生の通学範囲も北九州は勿論、県内各地はもとより山口にまで及びます。
学年定員10名の少人数研究科ですが、院生の経歴は多彩で、教員はそうした院生の資質を踏まえて工夫をし、必要なレベルを下げることなく授業をしています。例えば、税法専攻の院生には、法学部の他、経済学系、理系出身の社会人も多く、各々の経験も踏まえテーマを選び、研究に取り組んでいます。また、過去、既に税理士として活躍する中、更に法的思考を深めたいという志の入学者もいました。開講時には、「単に税理士資格取得のためでなく、将来に役立つ法的思考の基準の確立(税理士は法律家である)」を目標とするよう言っています。
院生生活の中で、特に仕事を持つ人は時間の捻出に苦労することもあるでしょう。1年次はほぼ毎日のように授業がありますが、皆さん時間をやりくりしています。論文は、作成未経験者が殆どで、2年目になると焦りも出ますが、脱落者のないよう、人数に応じた方法を考え、最後の目標まで到達できるよう指導します。勿論、個別の相談にはいつでも応じる態勢を取っています。2年目の夏休み明けには中間報告の機会を設け、自分の論文の見直しと他の院生の進行状況を知り、遅れていれば奮起の契機とします。副査の教員2人も早期に決め、指導体制を整えています。
一定の法的分析・表現能力と事前学習は必要ですが、何よりも法学に対する興味と意欲そして強い志があれば、経歴、年齢を問わず門戸は広く開かれています。不安な点は時期を問わず個別相談を受けます。
法学研究科長
鈴木 博康
VOICE
有田 万希子 Makiko Arita
平成21年4月 法学研究科(民法)入学
- 「より高い専門性をめざして」
- 私は、九州国際大学法学部総合実践法学科の学生として四年間を過ごし、その間、多くの友人や先生方の影響を受け、法律を学ぶ楽しさを知りました。
学部三年の時、就職か進学か選択に悩みましたが、最終的に私の気持ちを動かしたのは、もっと法学を専門的に勉強したいということでした。そして、大学院に進学しました。
まだ数ヶ月が過ぎたばかりですが、根拠をもとに自分の意見を作ることは難しいのですが、楽しく、毎日が充実しています。
本学の院生には研究室に個人の机が与えられ、図書館も自由に使うことが出来き、環境も他の大学院と比較すると恵まれているように思います。
また、院生同士の意見交換や、教授の指導など沢山の考えを聞くことによって、自分に不足していることを付加したり、間違っていることを修正したりでき、多面的な見方が身に付きます。
修士論文を作成することになりますが、これから個人テーマを決定し、研究が本格化します。冊子として、人の眼に触れるわけですから、価値のある内容にしたいと思います。
法律は広く、しかも深い世界で、社会生活の基盤でもあります。私はこの二年間を有意義に過ごし、社会人としての自分を確立したいと思います。
九十九 武志 Takeshi Tsukumo
平成15年3月 法学研究科(労働法)修了
- 「自分にとってのターニングポイント」
- 大学院の特徴として、昼夜開講制と社会人学生が多いということがあげられます。
私は大学院2年生の4月より私立高校の講師の職に就きましたが、夜間や土曜の講義の活用によって、勉強を続けることができました。
大学院では、研究室に自分専用の机が用意され、集中できる環境が整っています。さらに、確固たる目的を持っている社会人学生の方々や、目標に向かって努力している学生の方々とのふれあいは、大きな刺激になりました。先生方との距離も大学時代より一層近くなり、お力添えが大きな支えに感じられました。
他大学の商学部出身である私は、入学当初、苦労しましたが、バックアップ体制が整っており、法学部以外の出身者の方でも安心して入学できると思います。
大学院終了後、転職を考えた時、指導教授や知り合えた社会人の方々や友人に相談にのってもらい、貴重なアドバイスを貰うことができました。そのおかげで、30歳のときに西日本新聞社に転職することができました。
大学院で過ごした2年間は、自分にとって非常に大きなターニングポイントであり、そこで学んだことや出会いは大きな財産です。これからも、その財産を糧としてがんばっていきたいと思います。
赤司 南 Minami Akashi
平成20年4月 法学研究科(憲法)入学
- 「深い知識を求めて」
- 私は、学部時代に本学に大学院があることを知り、学年が上がるにつれて法律を学ぶ事の楽しさを感じ、法律への深い知識を求めて本学大学院への進学を決めました。
大学院では、大学と違うところが多く、まず講義は少人数で行われるため、求められる知的レベルは高く大変な面もありますが、その反面、自分の意見が教授に届きやすく、疑問、質問がその場ででき、解決することができるため、とてもやりがいがあります。また、大学院では自らが選んだテーマで小論文を書き、プレゼンを行う機会が増えます。そのため、論文の構成能力や人前で話す能力が鍛えられます。私は人前で発言することが苦手でしたが、このようなことから苦手意識も消え、なおかつ人前で発言することにより自分の意識も明確になり、自信へとつながっています。
次に大学院生には一人一人研究室に机が与えられます。研究室は24時間使用可能なので、講義のない日でも自主的に学問に取り組むことができます。また、研究室があることによって、集まって討論しながら課題に取り組むことができます。
大学院の同期生は人生経験を重ねた方が多く、今まで知らなかったことや自分と違う考え方など、新しい発見ができ、視野が広がります。これからも、私は自分の知識を高め、同期生と楽しく勉学に励みたいと思います。
石内 里英 Rie Ishiuchi
平成18年3月 法学研究科(税法)修了
国税専門官合格
- 「税務の職場を目指し、国税専門官に合格」
- 私は、学部生の時に税法の講義を受講しました。税法は私たちの日常生活に密接な関わりを持つ法律ですが、それまでいかに知らずに過ごしてきたかに気付き、もっと深く研究してみたいと思うようになり、大学院へ進学しました。
大学院の講義は、「昼夜開講制」ということで、昼間は仕事をしながら夜間に通学する社会人学生が多いのが特徴です。はじめは、同級生の年齢の幅広さに驚きましたが、実務に即した意見を聞くことで、よい刺激となり研究が深まりました。
それぞれの進路も様々で、資格取得を目指す者、進学する者、就職する者などがいます。私は、学んできた税法を活かせる職業に携わりたいと思い、税務の職場を目指しました。公務員試験は、職種によって若干異なりますが、一般常識の教養分野と、法律や経済などの専門分野の筆記試験と面接試験があります。その出題範囲の広さに何度かくじけそうになりましたが、教授や友人、家族の励ましに支えられ、何とか合格することができたのだと思います。
私が大学院で修得したことは、法律の知識だけではなく、講義や修士論文を通じて、自分の意見や考えを表現し、伝えることの難しさとその重要性です。今後も広い視野を持って、今まで学んできたことに更に磨きをかけ、日々精進していきたいと思います。