九州国際大学は毎年、九州・山口の高校生を対象に、100文字以内で思いをつづってもらう「Ｄｒｅａｍ１００ 作文コンテスト」を実施しています。このコンテストは開学80周年の2010年から始まり、今年で8回目になりました。「100」には、開学100周年に向け、たゆまずに歩き続けようという決意とともに、高校生の夢が「満点」になるように、との願いも込められています。
今年は〈人生最大のサプライズ〉をテーマに作品を募集したところ、44校の高校から計6,882作品の応募がありました。
芥川賞作家の村田喜代子氏（九州国際大学客員教授）を委員長とする選考委員会（5人）が審査、Ｄｒｅａｍ大賞、読売新聞西部本社賞、ＦＢＳ福岡放送賞、選考委員会特別賞各１点と入選96点を選びました。
表彰式は8月27日(日)、北九州市八幡東区平野の九州国際大学キャンパスで行われます。
最後に、多数の応募者をご支援くださいました先生方、そして保護者の皆様方へ、心より厚く御礼申しあげます。
九州国際大学学長 西川 京子
受賞作品
Ｄｒｅａｍ大賞 読売新聞西部本社賞 ＦＢＳ福岡放送賞 選考委員会特別賞 選考委員長特別賞 入選 学校賞 講評
Ｄｒｅａｍ大賞
宮崎農業高等学校 ３年 中平 りんかさん
空が青かった。広い海を見ていたはずなのに気づいたら私は空を見ていた。体は冷たく揺れている。私は海に落ちたのだ。これは３歳の頃の出来事である。すぐに父に助け出されたが、母は後に語る。お前は笑顔だったと。
読売新聞西部本社賞
須恵高等学校 ３年 泉 遥香さん
小学校の卒業式。私の母は病気で入院していたため来ることはできないだろうと思っていた。だけど卒業式が終わり退場していく時、保護者席の隅で車イスに座る母を見た。私はその瞬間、母と同じ様に涙が溢れ出ていた。
ＦＢＳ福岡放送賞
青豊高等学校 ３年 髙野 哉多さん
ピッ。ピッ。ピッ。ピーー。事故で重傷をおった父の命が救急車の中で燃えつきた瞬間だった。ＡＥＤで命を取り戻そうとしている救急救命士の横で僕は泣いていた。ピッ。ピッ。突然、父の心臓が再び動きだす音がした。
選考委員会特別賞
北筑高等学校 ３年 阿部 遥香さん
私が部活を引退した日、冷蔵庫に小さな箱があった。それは、いつも一言も話さない兄からのもので、中にはケーキが２つ入っていた。箱のすみに「お疲様」と書いてあった。今まで食べた中で１番幸せな味だった。
選考委員長特別賞
小倉南高等学校 ２年 織田 しずくさん
私の名前を親から教えてもらった時です。母の「いづみ」から産まれたから私は『しずく』と名付けられ、一つの水滴はすごく小さいけど、小さいなりに周りの人を支えられる子になってほしい。人生最大のサプライズです。
入選
- 宇部フロンティア大学付属香川高等学校 3年 森重 真希さん
- 宇部フロンティア大学付属香川高等学校 3年 内田 杏佳さん
- 山口県鴻城高等学校 2年 田中 愛唯さん
- 山口県桜ヶ丘高等学校 2年 野間 陽菜乃さん
- 山口県桜ヶ丘高等学校 3年 石川 彩乃さん
- 山口県立宇部中央高等学校 3年 人見 文子さん
- 山口県立田部高等学校 1年 塩満 毬花さん
- 野田学園高等学校 1年 迫田 翔真さん
- 野田学園高等学校 1年 中野 龍斗さん
- 野田学園高等学校 3年 重岡 杏佳さん
- 柳井学園高等学校 2年 平田 雅治さん
- つくば開成福岡高等学校 2年 古賀 愛海さん
- つくば開成福岡高等学校 3年 吉冨 宇将さん
- 希望が丘高等学校 3年 森井 栄弐さん
- 九州国際大学付属高等学校 1年 森谷 愛美さん
- 九州国際大学付属高等学校 1年 新井 緋南さん
- 九州国際大学付属高等学校 1年 田中 利奈さん
- 九州国際大学付属高等学校 1年 生田 優葉さん
- 九州国際大学付属高等学校 1年 山内 和佳さん
- 九州国際大学付属高等学校 2年 田村 海碧さん
- 九州国際大学付属高等学校 2年 一色 愛理さん
- 九州国際大学付属高等学校 2年 那須 茉祐さん
- 九州国際大学付属高等学校 2年 髙坂 優海さん
- 九州国際大学付属高等学校 2年 尾﨑 映里さん
- 九州国際大学付属高等学校 2年 村田 美月さん
- 九州国際大学付属高等学校 2年 坂本 陽昇さん
- 九州国際大学付属高等学校 2年 西野 水優さん
- 九州国際大学付属高等学校 2年 木森 理梨香さん
- 九州国際大学付属高等学校 2年 野口 貴史さん
- 慶成高等学校 2年 石迫 瑞未さん
- 西南女学院高等学校 3年 浦田 あかりさん
- 西南女学院高等学校 3年 中村 亜里紗さん
- 大牟田高等学校 3年 寺田 佳加さん
- 博多高等学校 1年 阿部 桃乃さん
- 博多高等学校 1年 花田 美咲さん
- 博多高等学校 2年 森山 凌介さん
- 博多高等学校 2年 宇野 柚香さん
- 博多高等学校 3年 山口 健斗さん
- 福岡海星女子学院高等学校 3年 松髙 亜美さん
- 福岡県立三池高等学校 3年 末藤 楓恋さん
- 福岡県立糸島農業高等学校 1年 小山 義輝さん
- 福岡県立糸島農業高等学校 3年 小林 梨奈さん
- 福岡県立小倉南高等学校 2年 中山 友梨花さん
- 福岡県立小倉南高等学校 2年 梶原 早弥乃さん
- 福岡県立小倉南高等学校 3年 渡邊 至恩さん
- 福岡県立須恵高等学校 3年 大鶴 比路さん
- 福岡県立青豊高等学校 1年 上野 紗夜さん
- 福岡県立青豊高等学校 1年 村田 ひかりさん
- 福岡県立折尾高等学校 1年 鈴木 愛奈さん
- 福岡県立折尾高等学校 3年 平田 凱斗さん
- 福岡県立折尾高等学校 3年 栗林 佑衣さん
- 福岡県立折尾高等学校 3年 石橋 昂汰さん
- 福岡県立折尾高等学校 3年 高口 紗妃さん
- 福岡県立折尾高等学校 3年 喜多嶋 華亜綺さん
- 福岡県立折尾高等学校 3年 久野 鈴菜さん
- 福岡県立折尾高等学校 3年 藤井 萌花さん
- 福岡県立折尾高等学校 3年 與古光 里奈さん
- 福岡県立八幡高等学校 2年 平原 のぞみさん
- 福岡県立八幡高等学校 2年 村井 遼太郎さん
- 福岡県立福岡魁誠高等学校 3年 藤本 優芽さん
- 福岡県立北九州高等学校 3年 小岩 優花さん
- 福岡常葉高等学校 3年 日高 萌咲さん
- 福岡常葉高等学校 3年 松島 悠希さん
- 福岡大学附属若葉高等学校 1年 渡辺 三空さん
- 福岡大学附属若葉高等学校 3年 西村 美乃里さん
- 東明館高等学校 1年 松田 菜那さん
- ルーテル学院高等学校 1年 德留 奏さん
- ルーテル学院高等学校 3年 清本 秋沙奈さん
- ルーテル学院高等学校 3年 川上 茉里亜さん
- 熊本県立高森高等学校 1年 原 彩莉さん
- 熊本県立高森高等学校 1年 荒牧 真央さん
- 大分県立大分鶴崎高等学校 2年 局 桃花さん
- 大分県立大分東高等学校 2年 鳥越 朱音さん
- 大分県立大分豊府高等学校 2年 山本 佳子さん
- 東九州龍谷高等学校 3年 自在丸 歩華さん
- 宮崎県立宮崎農業高等学校 2年 手束 優斗さん
- 宮崎県立宮崎農業高等学校 3年 戸田 紘生さん
- 宮崎県立高城高等学校 1年 関之尾 遥さん
- 宮崎県立高城高等学校 1年 盛留 香寿美さん
- 宮崎県立福島高等学校 2年 中所 璃莉亜さん
- 宮崎県立福島高等学校 2年 川野 翔さん
- 宮崎県立福島高等学校 2年 河野 優香里さん
- 小林西高等学校 3年 吉川 朱音さん
- 鹿児島県立串木野高等学校 3年 松永 レイカさん
- 鹿児島県立大口高等学校 2年 廣川 弥那さん
- 出水市立出水商業高等学校 3年 永田 真湖さん
- 樟南高等学校 2年 岡世 桃佳さん
- 樟南高等学校 3年 坂元 想さん
- 長崎県立対馬高等学校 1年 木村 芝音さん
- 沖縄県立名護高等学校 1年 石田 奈帆さん
- 沖縄県立名護高等学校 1年 名嘉 さらんさん
- 沖縄県立名護高等学校 1年 山城 七星さん
- 沖縄県立名護高等学校 2年 比嘉 紗也華さん
- 沖縄県立名護高等学校 2年 三枝 響さん
- 沖縄県立名護高等学校 3年 仲地 弥結宇さん
学校賞
最優秀学校賞
- 福岡県立折尾高等学校
優秀学校賞
- 福岡県立小倉南高等学校
- 博多高等学校
学校賞
- 宇部フロンティア大学付属香川高校
- 山口県鴻城高等学校
- 山口県立桜ヶ丘高等学校
- 山口県立田部高等学校
- 野田学園高等学校
- 柳井学園高等学校
- つくば開成福岡高等学校
- 希望が丘高等学校
- 九州国際大学付属高校
- 慶成高等学校
- 西南女学院高等学校
- 福岡海星女子学院高等学校
- 福岡県立三池高等学校
- 福岡県立糸島農業高等学校
- 福岡県立須恵高等学校
- 福岡県立青豊高等学校
- 福岡県立八幡高等学校
- 福岡県立福岡魁誠高等学校
- 福岡県立北九州高等学校
- 福岡県立北筑高等学校
- 福岡常葉高等学校
- 福岡大学附属若葉高等学校
- 福岡県立折尾高等学校
- 博多高等学校
- 福岡県立小倉南高等学校
- 東明館高等学校
- ルーテル学院高等学校
- 熊本県立高森高等学校
- 大分県立大分鶴崎高等学校
- 大分県立大分東高等学校
- 東九州龍谷高等学校
- 宮崎県立宮崎農業高等学校
- 宮崎県立高城高等学校
- 宮崎県立福島高等学校
- 小林西高等学校
- 串木野高等学校
- 鹿児島県立大口高校
- 出水商業高等学校
- 樟南高等学校
- 沖縄県立名護高等学校
講評
選考委員長 作家・九州国際大学客員教授
村田 喜代子
ようこそ！ 沢山のサプライズ！
「人生最大のサプライズ」というテーマで、若い皆さんがどんな出来事を選んだか。
大賞の宮崎県立宮崎農業高校・中平りんかさんの作品は異色で、三歳のとき海に落ちた記憶だ。命に関わる事故なのに、幼かった自分の目に映ったのは青い海と、仰向きに反転して見えていた空である。「お前は笑顔だった」という母のセリフが最高だ。読後の込み上げてくる幸福感は何だろう。意表をついた作者の視点と文章力に拍手する。
福岡県立青豊高校・髙野哉多君の、瀕死の父を乗せて走る救急車の簡潔な描写も良かった。ピッピッピーという擬音が活写する。これぞ命の復活の「サプライズ」だ。
福岡県立小倉南高校の織田しずくさんは自分の命名にまつわる話。母親の名前の「いづみ」から滴った、「しずく」という珍しい名前の由来。なんと美しい親からの贈り物だろう。羨ましい。他に福岡県立須恵高校・泉遥香さん、同北筑高校・阿部遥香さんの家族からのサプライズも心に残る。
選外で惜しいのは宮崎県立高城高校・関之尾遥さんだ。原爆ドームを見た衝撃で涙を流していると、外国人が泣きながらティッシュペーパーを分けてくれた。悲しみに国境はない。八月は原爆忌。社会的視座のある文章である。ただ外国人の国や性別を書き込まねばならなかった。