「吉村ゼミではどんなことが学べますか?」
ゼミでは、刑事訴訟法を中心に、捜査・公判・証拠・裁判の各段階における法的課題や、裁判員制度、取調べの可視化、再審制度など、現代刑事司法の重要テーマを幅広く取り上げます。さらに、刑法、少年法、刑事政策など刑事法全般のトピックにも柔軟に対応しています。また、今日の刑事手続において欠かすことのできない「犯罪被害者の権利と支援」の問題も取り上げテキストのみならず、教員が犯罪被害者と刑事手続との関係について長年研究してきた研究成果も活用しながら、被害者参加、損害賠償命令、支援制度の現状と課題などについても検討しています。
「ゼミの特徴や進め方を教えてください。」
まずは前半で テキストを素材として、各自が決めた範囲を発表した上で、各論点について関連する判例・文献も取り上げつつ議論していくことで、論理的思考力、表現力、問題発見能力を高めることを目指します。
受講生の関心や希望に応じて、刑事裁判の傍聴や刑務所参観といった課外活動を企画することもあります。
「吉村ゼミはどんな学生におすすめですか?」
「その判決、本当に正しかったの?」あるいは「無実を主張しているけど、本当なの?」と思ったことがあるなら、このゼミはぴったりです。例えば、2020年に機械製造会社の役員らが逮捕・勾留・起訴された大川原化工機事件では、違法な身柄拘束・取り調べ・起訴など「人質司法」と揶揄される日本の典型的な「刑事司法の闇」も見えてきます。
さらに、裁判のやり直しとなる再審無罪事件では、法整備の必要性など再審制度の抱える問題点が見えてきます。1966年に静岡県で起きた一家強盗殺人事件では、逮捕された袴田さんに、1980年に死刑が確定しましたが、袴田さんと支援者らが再審開始を求め続け、ようやく警察による証拠の捏造が裁判所に認められ、2024年に再審公判を経て無罪判決が確定しました。無実を訴え続けてきた袴田さんは、逮捕から58年もの間、冤罪に苦しんだのです。こうした事例は、目の前の刑事司法が常に「正しい」とは限らないという現実を教えてくれます。
このゼミでは、警察の捜査、公判の進め方、裁判の判断、さらには犯罪被害者の権利や支援まで、刑事手続を始め刑事司法の全体像を学びます。
法のあり方に疑問を持ち、自分の言葉で考え、議論したい人にこそ参加してほしいゼミです。法曹志望の人はもちろん、社会の正義に関心のあるすべての人を歓迎します!
作成者 吉村 真性(法学部教授)