ジョグジャカルタ旅行記:財布を落とし、取り戻した話
現代ビジネス学部国際社会学科4年 石丸有斉
インドネシアに留学しておよそ2か月半が経った7月末、本学卒業生の有田稀平さんとともに、インドネシア中部の都市ジョグジャカルタを訪れました。
今回はその地で私の身に起こった出来事を通じて感じたことをお伝えします。
当日は朝から、世界的にも有名な仏教遺跡「ボロブドゥール寺院」を観光しました。壮大な遺跡群を眺めながら素晴らしい時間を過ごしたのですが、帰りのシャトルバス停留所へ向かう途中、私は親から贈られた大切な財布を落としてしまいました。朝から動き回り疲れていたこともあり、その事実にすぐには気づけませんでした。
写真1・2「インドネシア、ジョグジャカルタにある世界遺産ボロブドゥール遺跡」(筆者右)
財布を紛失したことに気づいたのは、すでにジョグジャカルタ中心部に戻った後。
財布を探しに戻るには少なくとも1時間はかかる距離です。幸い、事前にGPS発信器を財布に入れていたため場所は特定できました。しかし位置情報は既に道端ではなく民家を示していたため、既に誰かに拾われていて簡単には取り戻せない状況でした。
写真3「財布紛失発覚時の位置。iPhoneの探すアプリのスクリーンショット」
すぐに現地へ向かおうとしましたが、旅の経験が豊富な有田先輩に「まずは警察に相談すべきだ」と冷静に止められ、二人で近くの警察署に向かいました。夕刻、警察署に到着すると5〜6名の警察官が親身に対応してくださり、「現地のボロブドゥール警察署に行くとよい」と助言を受けました。
夜になり、タクシーで一人ボロブドゥールへ向かう道中、不安と焦りが募りました。
当日夜の列車でジャカルタに戻り、翌日からの授業に出席する予定だったので、もし財布を見つけなければ翌日の授業にも支障が出る状況でした。心の中は穏やかではありませんでしたが、頭の中ではできるだけ冷静に「見つからなかった場合の対応」を考え続けていました。
午後7時過ぎに現地の警察署へ到着。署内は閑散としていましたが、警察官に状況とGPSの話をしたところ、担当の警察官がすぐさまパトカーを出してくださいました。その迅速さと親切さに、言葉にできないほどの感謝と安心感を覚えました。
写真4「紛失場所へ向かった時のパトカー」
パトカーで到着したのは、紛失場所近くのドミトリーでした。警察官の友人である店主夫妻も協力してくださり、奥様(日本人)の方が通訳をしてくださいました。当時、インドネシア語力がまだ拙かった私にとって、同郷の人がいる状況は大きな安心感を与えてくれました。そしてGPSが示すところへ行き、アラームを鳴らすと、近くの民家の一室から音が響きました。家主の方が確認に向かったところ、無事に私の財布が見つかりました。クレジットカードや保険証など中身はすべてそのまま。奇跡のような形で手元に戻ってきた瞬間でした。
その後、警察官、宿の店主、拾い主に感謝を伝え、急いでジョグジャカルタ中心部へ戻りました。渋滞に焦りながらも、発車のわずか1分前に夜行列車に乗り込み、無事にジャカルタへ帰ることができました。
写真5「発見時の写真。左から家主、警官、筆者」
今回の経験を通じて、異国での人々の温かさを強く実感しました。特に警察官の方々の迅速かつ誠実な対応には深い感銘を受けました。
ちなみに財布の紛失理由は、ポーチの閉め忘れでした。自らの油断で大変な事態を引き起こしてしまい、自らの注意の甘さを痛感しました。
今回は自己の要因におけるアクシデントでしたが、盗難の場合はより困難な状況になっていたと思われます。関わった人々すべてが善い人であったことは不幸中の幸いであると強く感じます。どんなに状況でも気を抜かないこと大切さを教訓として得られました。
この出来事は「あきらめないことの大切さ」、「油断大敵」、「人の親切さ」、そして「困難の中にこそ学びがある」ということを改めて教えてくれた貴重な体験でした。




