[法学部]刑事裁判の傍聴(鈴木ゼミ)


法学部の鈴木ゼミ(専門演習A・B)では、10月27日、北九州市小倉北区にある福岡地方裁判所小倉支部まで、刑事事件の傍聴に出かけてきました。

日頃、生活をしているなかでは、なかなか司法の現場に触れる機会がありませんが、今回、裁判を傍聴したことで、本物の裁判がそれまで自分がニュースやドラマなどを通じてイメージしていた「裁判」像とは大きく異なっていることがわかりました。普段のニュースで報じられるのは、公判が始まったときや判決などで、いわば始まりと終わりの部分ばかりですが、実際には裁判官の指揮のもと、検察官や弁護人が逐一、被告人とやり取りをし、その積み重ねが判決という結果に至っているのであって、その過程をつぶさに見て取ることができたのは新しい発見です。さらに、裁判を傍聴したことで、大学の教室で学んでいる刑法や刑事訴訟法などの講義をこれまで以上によく理解し、様々な視点から物事を考えることができる力が身についたような気がします。

私たち鈴木ゼミでは、起訴状をはじめとして、裁判の台本を自分たちで作りながら、模擬裁判を行ってきました。私たちの模擬裁判はオープンキャンパスなど、傍聴人に見せるために行っているところがありますが、実際の裁判は、私たちの模擬裁判よりも、かなり「迅速」に行われていたところがあったのも印象的でした。どこか傍聴人が蚊帳の外に置かれてしまっているようにも感じました。今回は2つの刑事事件を傍聴しましたが、2件とも同じ裁判官、検察官が事件を担当していました。察するところ、ほかにも多くの事件を担当しているのでしょうから、それぞれの事件にあまり時間をかけていられないのだろうか、とも想像してしまいました。

 

これまで私たちの中では、裁判所というところは堅く、近寄り難いイメージがありましたが、実際に傍聴に参加したことで、実は誰でも気軽に傍聴できることを知り、機会があれば自分でも行ってみたいと思いました。

A・H、A・R、U・S、H・Y(鈴木ゼミ3年)

【先生からのコメント】

百聞は一見に如かずの通り、本物の刑事裁判を傍聴して、座学だけでは学べない、リアルな社会の実態を垣間見ることができたことと思います。

とくに2件目の事件は、当初40分の予定で期日設定されていましたが、弁護人の丁寧な主張立証もあり、1時間半以上にもわたって結審しました。また、検察官は責任追及をする、そして裁判官はそれを受けて判断を下すというのが何よりの役割ですが、それだけにとどまらず、前科のある被告人が今回の事案に至ることとなった背景にも触れながら、(起訴事実が真実ならば)どうすれば今後、被告人が人生をやり直していけるのかを関係者がそれぞれの立場から共に考えていこうとしている様子が伝わったのではないでしょうか。

犯罪行為に対して単に刑罰を科すことだけで問題が解決するわけでなく、相談相手の存在の必要性や求職・生活保護の仕組みなど、社会全体から刑事政策を考える契機にもなったことでしょう。

 

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作成者 法学部 鈴木博康(教授)