[ゼミ] カンボジアの小学校に絵本と笑顔を届ける(2) -Book to Read-


「失われない『当たり前』を求めて」藤井大輔(国際社会学科 准教授)
※前回までの記事まとめ

カンボジアの小学校に絵本を贈る国際協力活動は先に紹介した通り、現地で受けたインパクトが大きかったからだと思います。

実は、この研修で別の小学校も訪ねていました。
それは帰国後に上映がスタートした映画『僕たちは世界を変えることができない。』のモデルとなった小学校でした。カンボジアの小学校を建てた日本人医学生の実話を元にした書籍を映画化したものです。
映画会社の方との縁もあって、主演俳優の向井理(むかいおさむ)さんと原作の葉田甲太(はだこおた)さんと学生たちが対談をさせていただける機会をもらいました。これらに感化されたところもきっと大きかっただろうと思います。

しかしながら、国際協力をやったことがない学生たちはアイデアを形にすることの大変さに直面します。考えれば考えるほど、「良いことだからいい」わけではないことを知るからです。
自分たちが行ったことは良くも悪くも影響があります。
例えば、教科書や文房具を贈る事によって初めて手にした子どもたちは徐々にそれが「当たり前」になりますが、それは自ら作り出した「当たり前」ではないため、容易く失われてしまうのです。
試行錯誤の結果、小学校の「あの図書室」に置く本を贈り、みんなで利用してもらおうと誕生したのが「Book to Read」プロジェクトでした。

(次回につづく)