模擬裁判ゼミでは、先日、「本物の」裁判傍聴に出かけてきました。ゼミ生の片岡君に当日のレポートをしていただきましたので紹介します。
今回、ゼミ活動で、福岡地方裁判所小倉支部まで刑事裁判の傍聴に行ってきました。
これまで大学の講義では、さまざまな法律について学んできましたが、実際にそれらが用いられる場である「裁判」を傍聴するというのはなかなかハードルが高い行為でした。というのも、裁判で取り扱われる事件、特に刑事事件は、その判決によって被告人や被害者などの人生を大きく左右することになるので、そこへ事件と全く関係のない自分がそれを傍聴しに行くのは、関係者に煙たがられるのではないかと思っていたからです。
しかし、実際に傍聴してみるとそんなことはなく、気軽に行けることが分かりました。事前には不安や心配を抱きながらの初めての裁判傍聴でしたが、そこで見た本物の裁判はイメージとは大きく異なっていました。傍聴した事件は覚醒剤取締法違反の事件でしたが、なによりも弁護人や検察官といった裁判関係者に、「人間らしさ」があったことが印象的です。法曹3者は書き言葉のような表現をロボットのように発言するものだと思っていましたが、実際は口語で、親近感を覚えるような話し方だったことです。また、被告人側の情状証人が、被告人のこれまでの生い立ちや人柄(職場での働きぶりはもちろん、いかに同僚の良きムードメーカーになっているか)についての証言、さらには二度と同じことをやらせないことを約束していたことに、理屈だけではない人間らしさが感じられました。
今まで法律について勉強してきましたが、その先には生きた人間が存在していることに改めて気が付きました。さらなる法への理解を深めるためにも、また傍聴に出かけてみたいと思います。(法学部3年片岡)
先生からのコメント:
「法律の先には生きた人間がいる」、教室の教科書の世界だけの座学では得られない、貴重な学びになったようですね。敷居の高かった裁判所ですが、経験値が上がったことで、これからはもっと積極的に出向き、司法への関心が持てそうですね。1つの事件を追いかけてみる、異なる事件を見比べてみる、同種の事件でも地域ごとの異同など、自分なりにテーマ設定して傍聴に行くのも面白いかもしれませんよ。
今回はこの辺まで。また次回レポートをお楽しみに。乞うご期待。
作成者 法学部 鈴木博康(教授)