先日、模擬裁判ゼミが「本物の」裁判所見学に出かけてきました。

鈴木ゼミでは毎年のように訪問している裁判所ですが、普段は裁判傍聴だけのことが大半です。ですが、今回は裁判所から「採用広報」の企画も行っていただきました。
国家公務員の採用試験を考えるとき、多くは(立法権、司法権、行政権でおなじみ、3権のうち)「行政」の採用試験を目指す人が多いのですが、これとは別に「裁判所職員」の採用試験もあります。今回の参加ゼミ生の多くがこれから就活の始まる3年生だったこともあり、進路選択の一つに裁判所職員というのもぜひ検討してみては?というものです。ワーク・ライフ・バランスのきわめて整った職場であることや、学生とのやり取りでの「職員の資質として必要なことは?」という質問に「チームワークやそのためのコミュニケーションの大切さ」を説いてくださった職員の方、また「事実だけを伝えることの重要さ」といった話は印象的でした。


さて、今回の裁判傍聴について、ゼミ生に当日のレポートをしてもらいましたので紹介します。
私たち鈴木ゼミは、北九州市小倉北区にある福岡地方裁判所小倉支部へ刑事事件の傍聴へ行ってきました!
よくドラマやニュースなどで目にしたり聞いたりする裁判ですが、実際の現場に触れる事は初めての体験でした。今回、本物の裁判を傍聴したことで、ドラマなど見られる「裁判」のイメージとは大きく異なっているのだということが分かり、裁判に対する考え方や理解を深める事が出来たと思っています。
私たち鈴木ゼミでは、春学期にアンデルセン童話「マッチ売りの少女」をベースとして、模擬裁判を行いました。私たちの模擬裁判は人に見せることによって、刑事裁判とはどの様な事をするのかを伝えるために行っているところがありますが、実際の裁判では、私たちが行った模擬裁判よりも「人間味」のあるものでした。私たちがイメージする裁判は事務的に物事を進めていく「形式的」なものを想像していましたが、実際にはそれとは異なり、弁護人や裁判官が被告人にある背景や動機などになるべく寄り添って進められている様に感じました。そして、春学期に行った模擬裁判と実際の裁判とは異なる箇所を見つけたりすることによって、模擬裁判の答え合わせの様な感覚で傍聴をすることができ、大学にて学んでいる刑法や刑事訴訟法に対して様々な視点から物事を考え、理解する力が身についたような気がします。
裁判所は厳格で入りにくいというイメージがあるかもしれませんが、実際はそうでもなく気軽に傍聴することができるので、みなさんも足を運んでみてはいかがでしょうか?新しい発見をすることができるかもしれません。(法学部3年森永)
先生からのコメント:
今回の刑事事件では、被告人・弁護人が事実関係については争わなかったため、争点は、保護観察付きでの執行猶予を付したものかどうか、量刑を争う展開でした。前科前歴を有している被告人の複雑な家庭環境に照らして、被告人が今後どうしたら立ち直れるのかといったところに力点がありました。レポートで指摘してくれた通り、人間味を感じられた、というのはまさにそういったところでしょう。刑罰は何のために科すのか、再認識する機会になったと思います。

今回はこの辺まで。また次回レポートをお楽しみに。乞うご期待。
作成者 法学部 鈴木博康(教授)


