[現ビ] 国際社会学科の学生がアメリカ人観光客を英語でエスコート


北九州の魅力を世界へ発信する実践的な国際交流を体験

9月26日、27日の2日間にわたり、国際社会学科の学生が北九州市を訪れたアメリカ人観光客のエスコートを行いました。今回の活動では、学生たちが事前に観光ルートを企画し、北九州の歴史や文化、観光スポットについて英語で紹介できるよう準備を重ねたうえで、実際の観光案内に挑戦しました。

今回北九州を訪れたのは、26歳のアメリカ人旅行者です。旅行者は沖縄から福岡空港に到着した後、地下鉄と新幹線を乗り継ぎ、自力で小倉駅まで移動しました。引率教員は安全面のサポートを行いながらも、学生たちが主体的に国際交流を体験できるよう、できるだけ学生自身が案内やコミュニケーションを担当する機会を設けました。

初日は男子学生2名がエスコートを担当する予定でしたが、そのうち1名が高熱のため参加できなくなり、急遽1名で対応することとなりました。小倉駅では、引率教員が迎えの車で待機するなか、学生が一人で新幹線口において旅行者を出迎えました。事前にWhatsAppで連絡を取り合っていましたが、実際には駅構内でお互いの居場所を確認するのに予想以上の時間を要し、待ち合わせひとつにも苦労する場面が見られました。学生にとっては、観光案内だけでなく、海外からの旅行者を円滑に受け入れることの難しさを実感する貴重な経験となりました。

その後は「平和のまちミュージアム」を訪れ、小倉の戦争の歴史について学んでもらいました。続いて「小倉城」を見学し、学生が英語で城の歴史や文化について説明を行いました。夕食はジ アウトレット北九州でともに過ごし、夜には「日本新三大夜景」に選ばれた皿倉山を訪れ、北九州が誇る美しい夜景を楽しんでいただきました。

二日目は3名の女子学生がエスコートを担当しました。まず八幡東区の北九州市環境ミュージアムを訪れ、産業都市として発展してきた北九州の歩みや、公害を克服して環境先進都市へと成長した歴史について紹介しました。その後、展望スペースからユネスコ世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産である八幡製鐵所旧本事務所を見学し、日本の近代化を支えた製鉄業の歴史について学んでもらいました。午後からは門司港レトロ地区を訪れ、学生たちが観光ガイド役となって地域の魅力を英語で伝えました。さらに帰路では、関門海峡を望む和布刈(めかり)公園に立ち寄り、世界平和を願って建立された平和のパゴダも見学しました。

また、今回の交流では食事の対応も大きな課題の一つとなりました。旅行者は大豆だけでなく豆類にもアレルギーがあり、日本では一般的に使用される醤油や味噌を含む料理の多くを食べることができませんでした。引率教員は事前に大豆アレルギーへの対応としてノン大豆醤油を取り寄せて準備していましたが、当日、パッケージに描かれていたエンドウ豆のイラストを見て、旅行者本人が使用できないことに気付きました。事前には大豆アレルギーと聞いていたため、豆類全般への注意が必要であることまでは把握しておらず、アレルギー対応の難しさを改めて実感する出来事となりました。

そのため、当初検討していた唐戸市場での寿司は断念せざるを得ませんでした。また、北九州を代表するグルメの一つである資さんうどんについても、使用されている調味料や原材料への不安から選択肢に入れることができませんでした。初日の夕食はハンバーグを選び、二日目には門司港名物の焼きカレーを食べてもらおうと人気店で約1時間30分待ちました。しかし、確認したところカレールーにも大豆由来の調味料が使用されていることが分かり、残念ながら食べることができませんでした。最終的には別のハンバーガーショップへ移動し、安心して食事をしてもらうことができました。

特に印象的だったのは、旅行者が食べられるメニューがあるかどうか確認できるまで、学生たちが自分たちの注文を後回しにしていたことです。相手の状況を最優先に考えながら行動する姿勢からは、高いホスピタリティ意識が感じられました。語学力や知識だけでなく、相手を思いやり、自然に配慮できる姿勢を学生たちがすでに身につけていることを改めて実感し、大変頼もしく感じました。

参加した学生は、北九州の主要な観光地を訪れたことがない学生がほとんどでした。そのため今回の活動は、外国人観光客に北九州の魅力を紹介するだけでなく、学生自身が地域の歴史や文化、産業遺産について理解を深める貴重な学びの機会にもなりました。

実際のエスコートでは、事前に準備していた説明だけでなく、その場での質問や状況に応じた対応が求められました。参加した学生の中には、イギリスでの語学研修から帰国したばかりで英語でのコミュニケーションに自信を持っていた学生もいましたが、小倉の戦争の歴史や北九州の公害克服の歩み、環境問題などを英語で説明する場面では、日常会話とは異なる難しさを実感したようです。自分が理解している内容を外国人に分かりやすく伝えることの難しさを体験し、地域について深く学ぶことの重要性を改めて認識する機会となりました。

また、中には韓国での語学研修から帰国したばかりの学生もおり、「英語で話そうとしても韓国語が先に出てきてしまう」「気づくと韓国語で話しかけそうになる」といった声も聞かれました。海外での語学学習の成果が表れている一方で、実際の国際交流の場では状況に応じて言語を使い分ける必要があることを実感したようです。

観光案内の合間には、アメリカでの生活や文化、趣味、仕事などについても会話が弾みました。旅行者が複数の言語を使いこなしていることを知り、学生たちは大きな関心を示していました。特に、英語話者にとってスペイン語やフランス語が比較的習得しやすいという話題から、「日本人が韓国語を学ぶときに似た感覚なのではないか」と学生同士で意見を交わす姿も見られました。英語でコミュニケーションを取るだけでなく、言語や文化の違いについて考える機会にもなったようです。

学生たちは英語によるコミュニケーションに苦労しながらも、相手に伝えようと積極的に工夫を重ねており、語学力だけでなく異文化理解やコミュニケーション力の大切さを学ぶ機会となりました。

今回の活動は、語学力の向上だけでなく、異文化理解力やコミュニケーション能力、さらには地域の魅力を発信する力を養う実践的な学びの機会となりました。英語を学ぶだけではなく、英語を使って地域の魅力を世界へ発信する。その難しさと楽しさを実感した2日間となりました。(文責:大形)