[法学部]こんにちは。「模擬裁判ゼミ」です。(鈴木ゼミ)


一口に「模擬裁判」と言っても、そのやり方や内容は実に様々です。どういった主催者が、誰を対象に、どんな目的で実施するのか、といったことに限っても多様です。例えば、昔、日本で裁判員裁判が導入されることが決まったときに、裁判所自身が、裁判員として参加する一般国民に対して公判や評議の進め方につき、その説明や手順の確認の必要から、司法関係者の研修のために行ったりしたこともありました。

本学で行っている模擬裁判は、何よりも演習(ゼミ)という授業の一環として行っているものです。そのため、学生自身が刑事法を学ぶ、という目的で行っているものではあるのですが、オープンキャンパスでの公開も意図していることから、来場の高校生に対する、本学法学部の学びの一端を紹介するという目的もあります。

模擬裁判の目的を異にすれば、模擬裁判のやり方・内容も様々に異なり得るのですが、本学の模擬裁判は、ゼミ生の学びであるとともに、高校生にも法学部で学ぶことの面白さを知ってもらいたいということから、例年、みんなが知っているような歴史上の事件や童話・物語などを元に、これを刑事事件としてアレンジしていく、という方法を採っています。

誰もが知っているような物語をネタにすることで、ゼミ生にとっては、物語のうちどの部分がどんな犯罪として展開しえるのか、また、それに対する反論はどうしたことが考えられるのか、そういった争点を見出すというトレーニングになります。法的な論理的思考力、と言ってもいいかもしれません。他方、傍聴人として当日オープンキャンパスに参加してもらう高校生には、自分の知っているなじみのある物語がどんなふうに刑事事件として展開していくのか、一見すると難しそうな、法律や裁判にも興味を持ってもらいやすくなるのではないかと考えています。

さて、そういった手順で、毎年、模擬裁判を手掛けていますが、昨年は「アリとキリギリス」をもとに刑事事件にしました。今年もゼミ生の間で、どんな原作を選んだらどんな刑事事件として展開できそうか、自分たちが子どものころに本で読んだり、大人に聞かせてもらったりした童話や昔話を思い出しながら、模擬裁判にできそうな物語の選定につき検討していきます。

この物語では、この部分が何罪の犯罪として展開でき、この場合の被告人は誰であり、片や、被告人・弁護人の反論としてはこんなことが主張できるので、争点としてはこのようなところにありそうだ、などなど。

候補の物語をあげてはその展開の可能性を議論し、他にも候補はないものかとまた探し出しては検討する……。今度の模擬裁判のネタは何になるのでしょうか。

 

今回はこの辺まで。また次回レポートをお楽しみに。乞うご期待。

 

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作成者 法学部 鈴木 博康(教授)