「よそ者が関わることで引き起こされること」 藤井大輔(国際社会学科 准教授)
※前回までの記事まとめ
苦しんでいる人、困っている状況の手助けをしたいという利他的な思いは、ボランティア活動の重要なきっかけです。Book to Readの活動も学生のそうした思いが活動になったものです。ただボランティア活動はそうした思いがあれば何でも良いわけではもちろんありません。他者が関わるということは良かれ悪しかれ何かしらの影響があるからです。善意で行ったからといってすべて良いわけではありません。 実はBook to Readも最初から絵本を贈ろうと決めていたわけではありませんでした。学生からは教科書やノート、筆記用具なども十分になく、そうしたモノの支援がやはり案として出てきました。第2回の記事にも書いた通り、与えられた「当たり前」は失われやすく、失った「当たり前」への喪失感は大きなものです。同時に、現地で買えばお金を落とせますが、日本から持っていけばお店は収入を得られません。さらに自分は使わないからと現地に持っていかれた「使い古し」の文房具は、二度と文房具を使わないならまだしも新しいものに変えるのであれば、言葉悪いですがゴミの押しつけとも言えます。 せめて自分たちの「思い」が現地の足しになるように、と考えた結果が絵本を贈ることだったのです。 (つづく)