「カンボジアの人たちの受け容れる力」 藤井大輔(国際社会学科 准教授)
※前回までの記事まとめ
絵本を贈るに至った経緯について前回お伝えしましたが、絵本なら問題がないわけという訳ではありませんでした。初回の訪問では2種類の絵本をそれぞれ20冊ずつ渡しました。その時は「オークン・チュラン!(ありがとうございます!)」と笑顔で受け取ってくれましたが、翌年訪れた際に先生から「同じ本をあんなにたくさんはいらない」とすごく丁寧かつ遠回しに伝えられました。
初回の訪問後の振り返りで「同じ本が多すぎたかもしれない」という反省が後輩に共有されられました。そこで翌年は3種類6冊ずつと現地で調達した絵本等50冊を持って行きました。現地を訪問したことで得られる学生の肌感覚は素晴らしいものだと感じます。
10度訪問しているこの小学校の校長先生は、変わず在任されていて、また多くの先生方とも顔なじみに(私は)なりました。関係性も少しずつ深まり、先生側から困っていることや要望などの相談を受けることも増えてきました。名前も覚えきれないほどの多くの生徒たちも、毎年少しずつ成長している様子もわかり、続けて参加している学生は再会に「久しぶり!」と笑顔で挨拶を交わします。
改めて国際協力はこうした関係性があって成り立つものであり、それを現地の受容力に助けられながら形作られていることを嬉しく思います。
(つづく)